数日前から、ある行方調査の一件で、かかりっきりになっている現場があります。
ほぼ、不眠不休で、調査対象者の行きそうな場所、心当たりのある場所、思い出の土地、潜伏しそうな場所など捜索エリアを広げながら調査を行っています。
しかし、残念ながら、未だ発見に至っていません。悔しい想いで一杯です。
さらに、この時期特有の暑さや、突如の雨、蚊の大軍など、様々な悪条件が肉体、精神共に疲弊をさせてくれます。
でも、何とか早めに発見をしたい
その想いだけで、動きます。
僕の頭の中には、72時間の壁が存在しています。
聞いたことありませんか？
大きな災害が起きた際、よく使われる『72時間が経とうとしています。』
という言葉。
これは、生存率が著しく低下する時間。
なので、72時間を経過する前に、見つけたり、処置しなければ、生きる可能性が乏しくなってしまいます。
この72時間。
僕は行方調査にも当てはまっていると思っているからです。
行方調査とは、言葉の通り、行方をくらましてしまった人を探す調査
所謂、何かしら問題、トラブルを抱え、実生活から遠ざかろうとしている人を探す調査ですが、多くの場合、死を覚悟して行方をくらまします。
と言うのも、直前まで、様々な葛藤を抱え、問題へ立ち向かおうとしていた中、向き合うことよりも離れたい。
いなくなってしまいたいという気持ちが上回ったときに、取る行動なのだからです。
だから、突発的にいなくなった、ではなく、ついに覚悟を決めて
本気度も様々です。
行方をくらますことで、
・家族や近親者に対して、困らせたかった
・自分の覚悟を見せつけたかった
・死を選ぶ勇気までなかったけれど、そうなる気持ちを知って欲しかった
・死を持って当てつけたかった
など。
しかし、どんな状況であれ、行方をくらましたという事実がある以上、楽観視は出来ません。
僕の元に訪れる相談者の中には、『あいつは、そんな勇気が無いから、1週間もすればフラッと戻ってくるよ』と、仰る方もいます。
でも、僕は、だからなにもしないで手を打たないというのは、NGだと思います。
出来ることを死にものぐるいでしないと。
出て行った人と残された人。
その行動を通してでしか伝わらなかった想い。
それを少しでも感じられたのであれば、悠長に帰ってくるのを待っているのではなく、それぞれの役割で出来ることをする。
それが、どんな結果になったとしても、『あの時こうすれば良かった…』という自責の念を少しでも軽減できます。
本当に命を失うことになったとしたら。
相当後悔することになるでしょう。
そうなる前に出来ること。きちんとやっておきたいですね。
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